【HHM2参加作品】詩の入り口に立つためにー『母乳』ちんすこうりなー/深水遊脚
 
ても大事なことだと思う。生々しい利害関係はない状態で、単一の正義感から、必要のない反射的な暴力が、言葉によってなされるのを最近よく観察する。おそらくこれらの言葉の暴力の主体は、自身の暴力性をみつめていない。刺激に反射するのではなく、辛抱強く観察し、「何故?」を問い、それを実行し継続して行くことで、客観性を獲得して行くことが、詩を読むこと、詩を書くことに、より幅を増して行くのだと私は考える。

 ここまで書いてみて気づいたが、性と暴力をテーマとしている作者のちんすこうりなさんと、理解と対話を志向する私とでは、相当に違う。この矛盾は解消しない方がいい。そして、ここまで書かれた内容は、単純すぎるようであれば、疑ってかかった方がいい。答えは視野を狭めるだけ。詩にそれを書いても仕方がないのだ。答えがほしいとき、人は詩を読みたがってはいないのだ。
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