冷雨/葉leaf
。立ち並ぶ大きな並木に一斉に光が点じられたとき、そこには紛れもなくファンタジーがあった。その瞬間、確かに世界は変わったのだ。私は歓声を上げたが、彼女は大して興味を示さず、その後すぐに互いの帰路に着いた。あのときの冬の冷たさと、今日の冷たさは似ている。
当時、私はすべてに飢えていたが、すべて満たされなかった。当時、私の一番好きな季節は冬だった。冬は、冬自身が冷たいことでもって、絶望も孤独も憎しみも傷も、あらゆる否定的なものを赦してくれる優しい季節だった。私の満たされない気持ちも何もかも包摂するのが冬だった。だが、彼女の私に対する無関心を感じたあの日、私はその冷たさを否定しようとした。その冷たさ
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