峯澤典子詩集『ひかりの途上で』について/葉leaf
 
て抒情的なのである。先ほどは、詩作品が読者に対して持つ抒情性を、作品による読者への働きかけの次元で検討したが、それよりも作品は第一次的には作者にとって抒情的なのである。
 峯澤は、人間をすっぽり包み込んでくれるような温かく豊かな生態学的環境を作品として作り出すという意味で作品の抒情性を高めていた。だが、それ以前に峯澤は、自らが具体的に生活するうえで、環境が働きかけてくるものの豊かさにとても敏感なのではないだろうか。自らの生活する空間に微細で多彩な叙情性を読み取ること。峯澤の詩作品の抒情性の強度は、彼女が生活世界の抒情性を極めて豊かに取り入れてくることから生じるのではないだろうか。
 さらに、自
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