峯澤典子詩集『ひかりの途上で』について/葉leaf
 
 峯澤典子の詩集『ひかりの途上で』(七月堂)を読んだ人は、大方がその美しさに感嘆したことだろう。だが、ここで言う「美しさ」とはいったいどのようなところから発生しているのだろうか。

闇にまぎれかかった一羽の鳥が
翼が濡れるのもかまわず川面すれすれに落ち
空の在りかを示すように
ふたたび飛び上がっていった
異郷において
無意識に空を見上げる目の高さに
果てはなく
そうした高さに救われるこころにも
終わりはない、と思い
もし果てがあるとすれば
その先に広がる星夜を
なんと呼ぶのか
わたしはいちども
優しいひとに尋ねずに
帰国した
       (「ある瞳」)

 
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