夜月と芋屋/灰泥軽茶
 
この夜道をいつも緩やかに漕いでいると
鼻の穴から嬉しそうにメロディが
街灯も少ない住宅街に響いてゆく

今日は紅色夜月の下小雨も降って
うっすら花粉が舞っているのに
紅色提灯垂らした石焼き芋屋が
公園の前で停車している

拡声器から流れるメロディは
お爺さんが
居間から誰かに向かって話しかけているような
抜け道をときおりびゅんと車が過ぎ去っていく

ふうとため息をつけば
とろんと瞼が閉じてしまいそうな
紅色流れる夜道



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