ひとひらの冬/
千波 一也
三月の晴れ間に舞う
ひとひらの冬
勢いもなく
威厳もなく
すぐにもそれは解けて
どこから来たの、
どこへと行くの、
たずねるいとまも無く
お別れになる
けれど、
帰るべきところへと
帰ったのだろうと思われる
きっと、
やさしい身内のもとへ
戻ったのだろうと思われる
もうじき春が
あふれ出しそうな頃に舞う
ひとひらの冬
それはあまりに淡く
いとおしい
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