キャンディと王様・前章/にゃんしー
 
あ、みたいな?」
「それは分かるわ。手塚山、かっこいい人多そうやもんな。医学部目指してるのとか」
「うっわ、計算高! つーか水樹、化粧はやめたほうがいいよ。まじで」
「うっさいわ、これからうまくなるわ!」
「まあ手塚山、制服もかわいいし、いいよねー」
「楽しみよなー」
「なんにしてもさ、まずは合格しないと」
 乙彼は笑った。
 海はじっと黙り込んで、流れていく車窓を眺めていた。
 刈穂が乱雑に残された田んぼは養分を残し、夏には青々しい水稲が萌え立つはずだ。
 それともあのときの咽返るような青臭さは、思い出のなかにだけ残って、
 瑞々しさを失っていくだけなのだろうか。
『乙彼
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