キャンディと王様・前章/にゃんしー
 
マニアックすぎてわからん」
 と笑って言い、しかしきれいなフォームで、右腕を振りぬいた。
 高く上がった5円玉は、ゆったりとしたカーブを描いておそらく賽銭箱に吸い込まれた。
「水樹、願い事、早く!」
 海が言うと、水樹は手を合わせ早口で、
「同じ高校にいけますように!同じ高校にいけますように!同じ高校にいけますように!」
 と唱えた。
「流れ星じゃないんだから」
 乙彼が笑った。


『同じ高校にいけますように』
 その3人共通の願い事は、ひとつの絵馬に並べて書き、絵馬掛所に奉納した。


水樹がトイレに行っている間、乙彼と海は、絵馬掛所に並んだ絵馬を眺めていた。

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