キャンディと王様・前章/にゃんしー
 
係性は、
彼女たちが仲良くなったきっかけであるソフトボールの場でも、
それ以外のシーンでも変わらない。
乙彼と海は同じ中学校で、水樹は別の中学ではあったが、
放課後や休日、またソフトボールの試合の後などにはいつも、
遊んだりお茶をしたりしていた。
彼女たちが住む尼崎の街には遊ぶ場所は少なかったため、
大抵は海の部屋に集まって、映画や音楽をかけながらのんびりと過ごす。
外でお茶をするときには、いつもマクドナルドかケンタッキー。
それはまた、尼崎市南東部のひなびた地域で暮らす少女たちの、標準的な日常でもあった。


元旦であるこの日、3人で集まって、初詣に行くことになっていた。
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