春の夢/碓氷青
たっと、園におちてしまう。種子たちはチョウの消失を知らずに、こころの繋ぎをユメミル。
夢見た種子は夢心地の中で、こころを揺蕩わせたままに消失することがある。チョウが届かなかったときである。そのとき、<彼>は夢心地に消えた彼らを抱えて、また一つの生命(種子)をいただく。いただいた生命(種子)は、彼らの故郷の袋の中へと横にされる。
そうやって、時計の針が何百回としないうちに、<彼>の小さな、小さなはるの夢は終わる。<彼>は空に浮かんだこころを見つめた。ユメハカナイ、<彼>は春の空にそんな言ノ葉をもたげて、眠った。
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