空想都市/白雨
 
頭蓋骨のなかに花咲けるユートピアの蜜の味を
知りたいのだ いつか
それが眼前の限りなく広い空間に
溢れ出し 咲乱れ 母親の子宮のように心休まるのを
味わうことを
してみたいのだ

してみたいのだ
ただしてみたいだけなのだ
それは果てしのない欲求でしかないのだ
―この仰々しく無骨なる「頭蓋骨」
に護られていることのほうが
遥かに重要でうつくしいのだ

空想的な方法で将棋の駒を進める
つまり空想に仕えて勝利をしなければならぬ
城塞に護られた観念の都市に平和をもたらすこと
おもちゃ箱を必死に護る少年騎士になること

―ただしそのおもちゃが人の役に立たねばならぬ

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