冬とむらさき/
木立 悟
むもの
季節を季節に引き寄せるもの
かすかに震える色の向こうに
大きく曲がる川があり
鳥が捨てた羽の散らばる
骨だけの橋を冠っている
上にも下にも引きのばされて
夜は甘味を増してゆく
舟着場をすぎる金の霧
水たまりの淵を縫ってゆく
旧い言葉を纏う子に
川は羽の冠を継ぐ
苔と雪を踏む素足
忘れ おののく ひとつ
むらさき
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