夜を変えた電気のように/天野茂典
 


   低い山の木々にかかって
   泣けてくるような夕焼けが
   剥がれかけた舞踏家の白粉になっている
   ムンクだ 叫びだ
   魂が肉体をかるのか
   肉体が魂をかるのか
   人魂が横にゆれている
   言霊が 遅れてやってくる
   温度は高い 視床下部の情報処理は
   70%だ 人間の血はあたたかい
   ぼくらの血管が緑だったら
   外科医はどんな反応をするだろう
   赤い血の喜び
   夜を変えた電気のように
   夕焼け詩人 アナクロニズムの
   レタス
   

                  2005・01・18
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