道端の風/クナリ
 
初めてのことを たくさん教えてくれたね
飽きっぽいのかなと思ったら 好きなものが多いだけだった
あんなに高いアンテナを 初めて見た

手に余るものを 大切にしようとして
ぽろぽろ指の隙間から 驚くようなものを落とす
ひとつひとつ拾って私は 
いちいち名前を付けるのが好きだった

一度立ち止まった 赤信号の交差点
また歩き出す時なんて たまらなく楽しそうにして
あの軽やかなコンパスが 好きだった
 
外国の歌なんて 知らなかった
海の向こうから届くのは 優しい歌声の震える風
ひとつひとつ捉えて私は
あなたとなら 風になるのが好きだった

趣味じゃないけど
振り返
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