二十一世紀を燕が思う/イナエ
承の危機感が沸き上がる。かつては 訓練する子ツバメ同士のニアミスも多くあったが、今では 一家族がパタパタ飛んでいるほどに減った。休憩のために電線の場所取りを争う姿もなく 激しい気性のつばめが減ったようだ。
一方で 飛行訓練に適した 安全な広い空間は電線で区切られ 地上近くではプラスチックや金属製の走る獣に不意打ちされ 未熟な子ツバメが逃げ切れなくて 衝突する事故も起きている。
今はこの島国が本当に営巣に適した土地であるのか疑問に思う。人間の暮らしも均されてきたのか ワタリの途中 羽を休める島々と この島の人家との差が少なく 人の顔もなんだか同じに見えてきた。荒れる海や 強風を避け 長い日時を掛けて この地までワタリをするメリットは少なくなった。もっと南の島で 営巣の場を探した方が効率もよく危険も少ないように思える。長い伝統のワタリを 再考するときが近づいているようだ 生命継承のためには
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