草/葉leaf
 
語から歴史へと総合される人生のあらゆる運行が宿っている。謎を謎のまま証明し隠すことで詩は成立し、喪失の痕、獲得の痕、流れの痕の上に正確に立つことで詩は育っていく。詩は痕跡を歌うものなので、常に何かを失っていると同時にその何かの痕を必ず得ている。ひさしぶり、ひさしぶり、ひさしぶり、ひさしぶり。
――草は実を生らせた。実はそのまま熟し、草の枝に生ったまま発芽するだろう。今度の芽は緑色だ。大地と風と日光と雨とをどこまでも流れていく変化する緑色だ。草を取り巻く人生群はせわしなく生活する。草もまた内部において生活する。生活の散らばったところに宇宙の中心はささやかに宿っているのである。



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