草/葉leaf
 


初めて現代詩を読んだのは、柏駅のビルにある書店で現代詩手帖を立ち読みしたときだった。当時私は19歳で、漠然と沢山の出会いを受け身で待っている孤独な少年だった。だが現代詩は私のそのような欠落を埋めるものではなかった。それは落雷のように、発火のように、刺突のように、私の空洞の底を突き破ってどこか遠くへと去っていった。私は突き破られた傷の痛みを現代詩との出会いの証拠としてその後大事に保存するようになった。
――草の種の表皮が破れて小さな芽が出てきた。真っ赤な芽が辺りに散在する宇宙に一斉に見つめられ、弱々しくその真っ赤な色を恥じた。だが芽を組成する幾何学はすべての宇宙を証明する可能性だけを持って
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