宝石商/
千波 一也
碧い鉱石を
もう、ずっとながいこと
求めつづけて
彼は
自分が
空に渡っていった
海であることを
憶えていない
※
夕日の熱は
裏切りという罪を燃やすのに
都合がいいから
だまってみてる
誰もみな
紅く凝り固まって
※
圧倒的な氷は
つややかな黒色らしい
そういえば
夜空の星は
黒鍵を弾けばこその
美であったかもしれない
※
とうめいな国に
等級という制度が築かれてから
ことばは難しくなった
それゆえ罰にさえ
透明度がある
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