自然の戦争/小川 葉
海
山
近寄りすぎると
津波がくる
熊が出る
ベルリンの
壁をどれだけ高くしても
津波がきた
熊がきた
甘い人間社会に憧れて
津波も熊も
街を混乱させたので
人間は壁をより高くした
高くすれば
津波も熊もこないと思った
壁はどこまでも高く伸びていく
その薄い壁の向こうに
変わらない自然がある
ことを人間はみてみぬふりをして
壁はどんどん高くなる
国境である
文化の違い
人間と自然との差異
それを無視して
壁を高くすれば
自然の恵みを都合よく
人間の恵みにできる大事業
それがあるから
壁はもっともっと高くしなければならない
人間の発展を否定し
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