わらう風/弓夜
 
あー、なんてきもちのいいかぜなんだろう
とおもっても
もうえいえんにこないかぜ
たったいっしゅんの

もしかしたらわたしのじんせいもそんなふうにすぎてゆくのかな

だから
つぎのかぜにであえて
どきどきわくわくむちゅうになれるんだけど

そのあいだも
いくつものかぜがふき
わたしはたったいっしゅんのかぜだけに
むちゅうになって
ほかのかぜはちゃんとかんじてないみたい


なんかなんでもそんなふうにかんじちゃう

はしゃいでいるうちに
あたしがきづかないだけで

おおきななにかがうしなわれていたりして…

そんなふうにあたしはたいてい
うしろがみをひかれるかんかくだ

なんておもいながらじてんしゃにのっていたら
おしかぜがふいて
すうーっとはしれた

いともかんたんにわたしをおしたかぜは
きっとわらっていたにちがいない

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