掴みかけた友情/北村 守通
夜は
張り詰め
足音だけが
近付きつつ
離れ
近付きつつ
離れ
夜は
張り詰め
六つの足音が
決して
共振することはなく
美しい
調べとなることはなく
白い息が
二つ
連なって走る
白い息が
二つ
立ち止まって
流れる
礼儀として
視線には
視線を返すことにすると
案の定
そいつと目が合った
子犬というには
大き過ぎるが
大人というには
幼過ぎる
首輪つきの
黒いワンワン
口笛ひとつ吹いてやると
喜び勇んで
まずは
足にじゃれ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)