光と、沈黙/まーつん
 
 ああ、
 いまいましい

 言葉を捨てようとして
 夕暮れ時の河原に立って
 何度も、何度も投げつけた

 波打つ水面に
 沈みゆく太陽に

 それでも、
 掌を広げてみると
 言葉はまだ、
 こびりついていた

 汗に滲む
 黒い線となって
 蛇のようにのたうつ

 ゛言葉 ゛

 それは実った
 胸の奥の庭に立つ
 一本の樹に

 その枝先から
 もいだ実を
 口元に運んで
 また一つ、噛み砕いていく
 思考という名の果肉を

 その甘美な味に
 酔った目で

 見上げれば
 鳥が空を切り裂いていく

 その
 迷い
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