レイルロード/霜天
 
始発駅が真っ直ぐになっている
僕らはここから始まって
ここで終わる
発車のベルがいつまでも鳴らないので
自分で押しに行くと、扉は閉まって
置き去りになる
少し笑いで僕は歩き出す


次の駅で誰かが待っていて
顔も知らない誰かだった
特に話すこともなく
すぐに電車が来る
始発駅の奥で次々に生み出されていて
僕らは止まっていても運ばれていく
誰かともう一度視線があったけれど
それでも話すことがなくて、とりあえず笑う
ご注意ください、繰り返されるアナウンスは
繰り返している、きっとその人自身のための


踏切を通り過ぎる
音が遠ざかる
遮断機が開くのを待っていた人の顔を
僕は懐かしさで知っていて
どこかで燻っていた初恋は
懐かしさでも涙は出なかった


遮断機で隔てられる
僕らから剥がれ落ちていくもの
信号の切り替わる気配
警笛
崩れた音が過ぎていく中
僕らは運ばれ続けていく
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