さまよう息吹/千波 一也
 

ひそかな息づかいを
わたしはそっと遠くから
信じるしかなくて

シマフクロウの
にぎやかな宴のなかに
わたしは夜な夜な
誘われている



サンゴの
無垢なる無言の悲鳴に
すべなく傷むのが
わたしの暮らし


サンゴの
勢い豊かな色彩御殿を
懸念なく泳ぎまわる
悠々自適さも
わたしの
暮らし



あなたは
どこで声を発していますか

あなたはどこで
途絶えていましたか









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