海のイメージ I(2014.3)/新嶋樹
 
海の水をふるい落として
陸にかたむいた者たちが

熱にかわいて
石くれにうずもれていく

やがて誰かに掘り出されるまで
かれらは 海の夢を見ている

かれらの
海の後遺症は消えない

まだうまく泳げるつもりでいる
あぶくとあぶくの隙間を縫って
自分こそが流線そのものであると

自ら海を手放していったというのに
まだ海に 心をあずけている

海はかれらの死をのぞんでもおらず
かれらが立派に生きていくのも
知ったこっちゃないというのに

……
かれら
夢の息のかかったものを
ロマンあふれる顔つきで
さくさくと 掘り出している
われら

肌を熱にかわかせて
埃っぽさに噎せながら
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