手/
ストーリーテラー
しいから愛なのか
手は気にしていない。
子供の頭に
夫の背中に
月の破片やら愛やらを埋め
与え続け、
与えられ続け、
果ては聖母(マリア)の手かもしれない。
一番幸福な手かもしれない。
―――ところで、私の手は鉄の匂いがする。
感情を殺してきた匂いがする。
見えない血に濡れた金銭的な手 ―――。
目をつむり、腕組みをしたまま
私は、少し窓際に傾いた。
摩擦音がすぐそこまで近寄っていたのも知らないで。
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