[24歳]/東雲 李葉
久々に暮らす父と母は私が思っていたよりも老いていて。私が思っているよりも近い位置でカウントダウンを聞く心地だ。
父はもう私を打たないし怒りもしない。ただにこにこにかにか馬鹿みたいに笑ってる。
それが少し悲しくて、だけど優しい父も嫌いじゃなくて。初めて本当に心から「長生きしてね」と懇願している。
老けたな、互いに。懐かしい友に会うたびそう思う。
学生の頃より腹を割ることが多くなったのはもう大人のくせに荷物を抱えきれないからか。
愚痴も自虐も自慢もどんと来い。代わりに私もどんと行かせて、なんて。
だけど最後の一つは誰にも内緒。愛情と友情の天秤は慎重に釣り合わせねばなるまい。
彼がたぶん最後の男だろう。彼もまた私を最後にするつもりだろう。
向こう見ずで身勝手な約束かもしれない。だけどどこか確信めいた共通点が二人の指を優しく求め合わせるのだと思う。
人間関係てんやわんやで。
人間関係こんがらがっても。
人間関係ひとりからは程遠い。
これって幸せ、なんじゃないかな?
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