物語/……とある蛙
ップを踏みながら石を避け
僕を左眼、左の眼でで睨む
意気地のない僕は言い訳を鴉にしようとする。
そうだ、猫を狙って石を投げたんだ
臭い息の猫を狙って石を投げたんだ。
黒猫はやせ細っていて
捨てられた生ゴミしか食べていないのを知りながら
情けない僕は猫を莫迦にした言葉を吐いている
鴉は本当に酷薄な左眼をしていて
縮みあがった僕は猫を裏切ってしまった
そのとき二度と黒い森には近づくまいと決心したのだが、
結局自分も生ゴミを漁っている
僕も口臭の臭い黒猫に変わろうとしている。
今朝も嘴太鴉に追い回されて
うろうろうろうろ彷徨いて
言う必要のない言い訳を
聴いてもしない鴉に向かって喚いている。
もうそんな日がいつから続いているか
覚えていない。
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