わたり鳥/
千波 一也
水と
ひかりと
ささやかな糧とがあれば
翼たちの朝は
まもられて
どれかひとつでも
均衡のくずれる日に
翼たちは
旅立つ
あたらしい朝を迎えるため
一斉に
旅立つ
翼は
個々に
ひたむきに
何千、何万と
羽ばたくのだろう
けして
数えられることのない
羽ばたきの向こうに
たしかな能動を
証して
翼たちは
約束を迎えにゆく
告げる言葉も
告げられる言葉もなく
朝が
わたりゆく
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