わたしの胸のなかは/
草野春心
わたしの胸のなかは
春がくると、空の色とおなじになる
うぐいすも桜もないこの町を
がたのきた軽自動車で駆けてくあなた
風のそよぎが耳にうたう
鋏をいれたばかりの髪であなたを探す夜
詮ない話をくりかえし笑う 夢の中の子供
まぼろしにむかって吠えているような犬たち
わたしの胸のなかは
ほら、雨の音が
こんなにも遠くきこえる
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