塀のある暮らし(2014.2)/新嶋樹
つまんないもので塀を築いて
おもろいものには目もくれず
いったいなにが楽しいのと聞いたら
「これが人生よ」と言われた
安いものを至上と信じて
ありきたりの色を重ねて
どのへんに君のこだわりがあるの
「明日も早いから」と眠ってる君よ
うずたかく積み上げる途中
透明の線がもう見えてるけど
そこまで積んだって結局
塀をこえてくるものには無力だ
人生を楽しく生きていくための
時間は限られている
それなら塀は置いといて
変なオブジェでもつくろうよ
げらげらと一日中
笑っていられるたぐいの
◇◇◇
君が世界の外にいたころ
そんな風に思っていた自分が
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