ワンナイト・ルーム/千波 一也
 


嗅ぎおぼえのある匂い

唾液か、汗か

誓いか、衝きか

嗅ぎおぼえのある匂いが

馴れ馴れしくて

腹立たしい

それなのに

後押しするものがある

割り切らせてくれるものがある

すっきり、なんかしないけど

都合のいい感じが

他人事とは思えなくて

嗅ぎおぼえのある匂い

そこに充満する

予感と悔いと

淡さと健気さ、狡猾さ







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