されど、死ぬのはいつも他人/藤原 実
 
のあの感覚------。

それはものすごいチカラで足払いを食わされてカラダは宙に舞った・・・・・・。それ
なのに地面に叩きつけられるはずのじぶんのカラダが、なぜかそのままふわふわ
と宙に浮いているのである。そんな感覚。
あの不思議な浮遊感。それにつつまれながらぼくは数日間、ただ街を歩き回って
いた。
あれは夢だったのか?いや、そうじゃない。あれこそrealityというものだ。

あの感覚をわすれずに持ち続けること。そのことによってだけ、ぼくは世界から
眼をそらさずにいることができるのだ。




[次のページ]
戻る   Point(7)