されど、死ぬのはいつも他人/藤原 実
してゆく
ような喪失感を味わったんです。
そのとき感じたのは、人間は意外に「もの」によってささえられている
部分があるんだなあ・・・ということでした。アイデンティティという
と普通、自己の内面の普遍的なものばかりを考えがちだけど、外部の
「もの」にもそれはあるんではないか。形在る物ははかないけれど、その
形在る物によっても人間はささえられているのでは・・・。
それ以来、コップだってスプーンだって「私」の一部でないとはいいき
れない、と考えるようになったのです。
(藤原
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