されど、死ぬのはいつも他人/藤原 実
あれからちょうど十年ということで、メディアなどで阪神大震災を振りかえる多くの特集が
組まれたりしています。思い出されるためにはいちど忘れられなければならない、なんて寺
山修司は書いていたけれど、こうやって思い出され、そして明日にはまたすっかり忘れられ
てしまうのでしょう。
神戸では震災以後に生まれたり住みついたりしたひとが人口の20%を超えたといいます。懐
古的に語られるのもしかたがないことなのです。しかし、被災者にとって震災は一年ごとに
振りかえるようなことではなく、今なお日々の生活を圧迫しているし、表面上は穏やかでも
精神の深いところはいまだに揺れは続いているのです。
高橋
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