ていし/ねなぎ
誰も居ない道で
信号を待っている
静けさは閉じたように
木々の音も聞こえず
ただ独り
ずっと信号を待っている
一本道は見渡す限り
何も無くて
草が風に揺れている
伽藍の底で
言葉の周波数さえ
忘れてしまうように
ただ
息をするかのように
全てが止まっているかのように
考える事さえ
辞めてしまって
誰も合図を
くれない道で
途方に暮れたように
待ち続けている
自分さえ
失うように
因果さえ
あやふやで
曖昧な
現象のように
光ったまま
瞬きもせずに
明滅する事もなく
いかにもたしかに
灯り続けてる
ひとつの赤い照明
戻る 編 削 Point(0)