二十歳(はたち)のエチュード/草野大悟2
 

果てしなく広がる林の向こうに
姿を現している日向の海

靴の中にはいってくる乾いた砂など気にもしないで
海に向かって走る二人
強い風にもつれ合う髪
あのコスモスの匂う髪
肩くんで海に向かって立つ二人
躍る心をくちずさみ
わたしを抱き上げるあなた。
わたしの重さのためと
砂のもろさのために
尻もちをついた二人

海ーーーーーーー
 海ーーーーーーー
  海ーーーーーーー

遠くを船が進んでゆく。
群れをなした鳥が水面を飛ぶ。
11月とはいえ
かなり強い日射しの中で
ジャンケンをして遊んだ二人
浪のかなでる子守歌を聞きながら
船かげで眠った二人
さらさらと音をたてて流れてゆく銀の砂

潮風の中での
しょっぱい口づけ

乾いた唇を潤す潮の香り
うっすらと日焼けした顔には
今も潮の香りがする。

不思議な二人
海の その青さを映したまま
その激しさに驚いたまま
見つめ合う二人
Spriteは妖精
青い海の色の妖精
爽やかな海の妖精





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