とりとめもないものは/ホロウ・シカエルボク
とりとめもないものは
落葉に埋れたもう書けなくなった詩人の詩
ズタズタになった絵描きの指
潰れた歌うたいの肺
断裂した走者の腱
バルコニーに
数日前に行方知れずの
十五の少女の死体
叫んだように緩んだ顎は
強張って
凍てついて
鎮魂歌の予約は
もう少し先に
この場所を
訪れるものは
もう
ほとんどない
欠けた硝子、ひと思いに割って、気に留めなくていいように、今すぐ、ひと思いに、砕けて散らばったものを、粉微塵に踏み潰して、足を傷めることなんか気にしないで、したいこととするべきことを、そう、間違えないようにして、一度間違って
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