図書館/弓夜
 
なじめない街に
あたらしい図書館ができて

あたしはうれしくって
ちいさい頃から本だけはいつも傍にいてくれたと
はたと気がついて

そういえば
だれもいない 一人部屋

まだまだお母さんと眠りたかったけど
我慢してひとりで眠ろうとしてもこわくて眠れなくて
そんなとき本をひらいた
字じゃなくて
挿絵をまじまじと眺めたりした

図書館も
この街にはやくなじもうと
毎日緊張しているように
あたしには見えて
仲間だと思っていたけど

図書館のほうがすぐにでも
みんなの仲間入りして
みんなに大歓迎されるんだって
あたしどこかでわかってた

だからあたし
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