【 私の履歴書 】/泡沫恋歌
 
私は十三年間
薄暗い工場の中で
機械の一部になって働いてきました
小さな子どもを連れて離婚した
若くもない女には3Kの仕事しかなかった
子どもを保育園に預けて働いた

毎日々
ベルトコンベアーから流れてくる器具の
配線をしたり
半田したり
エアードライバーでネジを締めたりしていた
頭なんか使わない
身体が勝手に動いて作業をやっていくだけ
ただ、それだけだった

一日八時間
同じ作業を繰り返すだけの日々
息の詰まるような生活だったけれど
生きるための戦いだと我慢した
それでもベルトコンベアーの
隙間に
ホンの少し妄想を嵌めこんで
失われゆく自我を必死で守
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