「うたくじら〜男性合唱、ギターと鳴り物のために〜」雑考?/赤青黄
ナーノーツの中で語っていることから「母体的な音響=母なる海へ還っていく鯨の鳴き声」「黒子的な〜響きの島〜=辺りに何もない広大な海の中で歌う鯨の群れ」だと容易に推測できる。
また、若林先生が選んだ編んだテキストの中には
ウウウウウウウウ。
ウウウウ。
イイイイイイイイ。
イイイイ。
……
(草野心平:「Berng-Fantasy」その3より)
がある。冒頭の鯨の鳴き声は多分ここから来てるんだろうな。重なりあう様々な音階の男声の音色は、水中で音を交信し合う鯨の姿を想起させてくれる。多分、あの沈んでいく音は海の底に沈んでいく「鳴き声」を表しているのだろう。
この曲を聞くたびに、人間の声ってのはホントに何でも出来るなぁと僕は思ってしまう。
ヘッドホンの中には、あのグレートジャーニーの紀行文でみた、波一つ立たない、静かなベーリング海のような静謐な世界が作り上げられていた。殆ど肉声のみによって。
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