青い空を知らない/
ベンジャミン
画用紙に迷うことなく色をのせた
空の青は
記憶にはない
白い画用紙が
とても不自然に思えて
窓ガラスに
水を浸しただけの
筆をはしらせると
透けた空が濡れた
いっそ瞳を
青く塗りつぶそうかと思ったとき
光の線が見えて
空が青でないことを知った
僕は
空が青だったなら
幸せになれたかもしれないのに
と思った
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