ある退職届に書かれていた文章/Neutral
 
ねえもういやなのよ
脂の匂いでたるんだ男どもの顔と
画面の中のかわいらしいみんなを見比べる毎日は
世の中をこんな風にしたのは一体誰
いくら泡のような微笑みで満ちていても
私をぶつ手の感触が本物でも
そんなもの現実とは認めたくないわ
だってとっくにもう お母さんはどこかに行ってしまったから

おならをがまんする為 尻に込めた力
緑色の糞になって背中を這い登り脳髄へと染み込んでいく
それは羞恥心 責任感 焦燥感 劣等感
かつて「気遣い」と呼んでいたものに
私は目も当てられなくなる程支配されてしまっていた

金の海を駆け回る者たちは
それが糞の海である事に気づいていない
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