饒舌な散歩/
 
ゲが這う
君は永遠にオリジナルにはなれない
かわいそうなベテルギウスと
暗闇の中のミルク・クラウン
そして置き去りにされた卵たちとの
意図しない共同生活を夢見る
電話の向こうで啜り泣く夜明けを
上の空でなだめながら
先細りの希望を額に塗りつけ
瞑想の向こうにある孵化を待つ
こちらを見るな
煙草を吸うな
初めて見る世界は暗号のよう
濁った発音の不規則な反復
人は匂いだけで泣けるというのに
五感を駆使しても共食いは終わらない
もう諦めろと道端の空き缶が忠告する
舌打ちをして目をやるがそこには何もない
最初のため息はいつの事だったのか
誇らしいカンバスを切りつけたのは誰か
すべてを忘れ果てても疑問だけは残る
本当に雨はなぜ私をすり抜けていくのか
下らない問いだと吐き捨てた子どもが
遺伝子の螺旋を軽やかに滑り降りていく
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