ふるさと/小原あき
わたしはこの風景を切り取り
自分の懐へ持ち出すことに成功した
白い砂を踏む幼子が
その足を冷やしながら
ふるさとを築いていく
かつて少女だったわたしも
そうして
自分の中にふるさとを築いてきた
音もなく降る雪のように
雪の降らない冬に不安を覚え
雪の降ることに安心した
一月の沖縄は物足りなくて
地元の空港の冷たい空気に納得した
吹雪で泣かされ
恐怖は冬ごとに積もった
鬱陶しいばかりの今でも
ふいにその美しさに立ち止まる
今、幼子は教えられている
夜の雪のように暖かく
ここがきみのふるさとだと
かつてわたしが
教えられたように
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