雪の中で思ったこと/yamadahifumi
私達の生活はいつからか映像化され
その細部の細部まで
いつの間にか、演劇的なものになっている
私達は日夜、自分と他人に
「そのような見かけ」を与える為に奮闘し
そうして、毎日拙劣な演技をしている
旦那に対する演技 恋人に対する演技 友人に対する演技
同僚に対する演技 ライバルに対する演技
様々な演技があるが、演技は演技である事に関わりはない
そして様々な欲望という名の「本音」は
ネットなどで、ルサンチマン的に吐き出されるのみ
・・・私は今、空虚を思う
この雪が降っている一つの演劇的現実の中で
私はこの雪そっくりの真っ白な
一つの空虚を自分の中に感じる
しかし、それを感じる事が
空虚をただ一人感じる事が
私にとっての「充実」なのだろうか
・・・答えは出ないままに
やがて雪は音もなく
止んだ
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