啓典の記憶/2012
 

そこには利発そうですが、どこか冷い印象を持つグラビティがいました。
そしてその傍らに、何か見てはいけないもの、ギルグルがいました。

「やあカノープ、やっと会えたね。さあ、早く。火刑を見に行こう」


昏く冷いグラビティの手が月の光で白く透き通るカノープの手を引いて、火祭の喧騒に近づいて行きます。

「ねえ、カノープ、ところで僕達と一緒に洗礼を受けたもう一人の男の子はどこで暮らしているの?僕はどうしても彼を見つけられないんだ。パノプティコンでさえ見つけられない。君は彼がどこにいるか知っているんだろう?」


カノープは少し困惑しました。グラビティがどうしてその男の子を探
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