春へ、/AquArium
吐く息の白さを
何度も確かめることに
慣れてしまって
あなたのいない夜に
泣くことも、
もうない
だって世界は進んでいて
あたしの上にも
朝が降りてくることを知ったから
思い返しても
鼻の奥がツンとなることはなくて、
嬉しいような寂しいような
絶対的に必要だっていうのは
今思えばとても窮屈で
雁字搦めだったな
あなたの迎える朝に
昨日より少しでもいいから
柔らかな光が差しますように
このくらいの温度で
合わせた視線には
驚くほど棘がなくて
そうしたら次の春は
微笑みさえ、
分けあえるような気がしたの
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