春の源になれ。/時子
 

あれから10年以上たった今でも、鮮明に覚えてる。
おかげさまで、何かを見つめるのが、今でもちょっと怖い。
冷たい目で見てるんじゃないかって。
そういう風に見えるんじゃないかって。


先日の立春に降った大雪は、
道路の隅っこに今も冷たく光っている。
びしょ濡れの道路は、見えない塵を洗い流していく。

なごり雪と一緒に、
私の冷たい瞳も溶けてしまえばいい。


涙となり、どこまでも透明な水となり、

春の源になれ。


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