「お一人ですか」/宇野康平
 
夜、寒い空、通りの電灯が私の肩を叩く。


「お一人ですか」


道に捨てられた日記に書かれた言葉








匂い






秒針が心音と共鳴する病身の妄想の前に、

空腹を告げるぐーという腹の虫にかける

殺虫剤はないかと電灯に聞くと、


「お一人ですか」


道に捨てられた私は恐らく、お一人らしい。

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